パネルディスカッションでは、4つの講演を通して示された事例をもとに、
日米双方の研究者が意見交換を行うことにより、今後のPURの指針や方向性を導き出しました。
現在のところ、PURは米国で先行していますが、研究者のアカウンタビリティ(説明責任)の
一環として、世界各国で浸透しつつあることがわかり、今後ますます研究者からのPURの需要
および期待が高くなることが予想されます。ただし、渡部氏の指摘にもありますが、
PURは基本的にトップダウンではうまく機能しないため、研究者、一般市民、両者を結ぶ存在
(インタープリター)が揃い、相互に円滑なコミュニケーションを図ることが重要です。
しかし、一方で、研究者を取り巻く状況は厳しく、特に日本の大学ではPURに関する資金と人材が
不足しています。そこで、Molinaro氏が紹介したバイオフォトニクスの事例のように、学生・生徒
を若い頃からPURに参加させることにより、教育効果をあげつつPURの裾野を拡大する戦略が有効と考えられます。
また、社会におけるPURの認知度を高め活動を推進するためには、東大のような大きな規模の組織である大学が、
国立天文台のように、広報室と別に研究成果の普及室やPUR室を設け、一般市民を巻き込んだ活動を展開して
ゆくことが望まれます。